はしもと矯正歯科の橋本です。
小学校高学年の方の治療には、今回ご相談下さった問題がいつも付いて回りますが、結論から申し上げれば、治療結果を重視するならば、1.の二段階治療が望ましいでしょう。
簡単にいえば時間が掛かる治療を行えば、また見返りも大きいことがあるからです。
つまり第一段階の治療が理想的に進行すれば歯を抜く可能性が減ったり、たとえ抜いて治療をするにしても仕上がりが美しいといったメリットがあります。
これは時間と治療結果との取引ですね。
また2.の今すぐ本格的な治療を開始するやり方も否定する訳ではありません。
この場合、通常2年は装置が付いておりますので治療中に成長があるため、進行しながら成長を観察して方向性を修正してゆきます。
うまく行けば1.の方法と殆ど変わらない結果となります。
ここで1.の二段階の方法をお勧めするのは治療の確実性の問題といえるでしょう。
なにせ人間の成長といった不確定要素を含む問題を介在しておりますので、2.の方法を選択した場合、予想通りの成長が無いときは方向を修正する必要が出てきて、悪くするとかえって治療が長期化することもあります。
人間の体の一部分があとどれくらい成長するのか、という問題は以前より矯正医の多くの関心を集めており、現在もなお研究は進められておりますが、統計的に傾向は予想できても確定的に数字を出すのは困難です。
ですので上記の結論になるわけです。
無論、この問題には様々な学説があり、現時点で決定論を語れるわけではありませんし、私自身、状況によって両方の方法を使い分けて治療を行っております。
なるべく早く治療を終えたい、という親としてのご希望も解りますが、なにせ大切な体の事ですので、確実な方法を取られてはいかがでしょうか。
2.の方法を提案された歯科医院の方針を否定する物ではありませんが、もし私が貴方の立場ならやはり二段階治療を選択すると思います。
これから中学生、という何かと忙しくなる年齢ですので考えることも多かろうと思いますが、これらの点を十分に考慮して治療にあたられることをお勧めいたします。
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