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左下の第2大臼歯がすでに抜歯されていたため、親知らずを第2大臼歯の位置に持ってくる方向で治療を受けておりました。2ヶ月ほど経過した後、親知らずは動かないと判断されたことに疑問を感じています。
親知らずの矯正治療について質問させていただきます。
左下の第2大臼歯が虫歯のためすでに抜歯されていたため、親知らずを第2大臼歯の位置に持ってくる方向で治療を受けておりました。
1年ほどの治療で親知らず以外の歯が揃った後、親知らずにもワイアーを装着しました。
2ヶ月ほど経過した後、親知らずは動かず、逆に手前の歯が奥に引っ張られたということで、親知らずを手前に動かすのは無理だという結論を下され、その部分はブリッジかインプラントにすることを薦められました。
先生の説明によると、親知らずは動く場合と動かない場合があり、私の場合は、年齢的なこともあり親知らずが歯の層に完全に固定されているので動かないのではないかとのことでした。
ただ他の歯もそうでしたが、実際に動き出すのにある程度時間がかかったように思うので、たった2ヶ月ほど付けただけで、動かないと判断されたことに多少の疑問を感じています。
ご意見をお聞かせいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
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はしもと矯正歯科院長の橋本公志です。
健康な歯に対して矯正医が「押しても引いても動かない!」ということは滅多にある物ではありません。
臨床経験が10年未満の先生なら「経験がある」人の方が少数派となるでしょう。
ところが親不知や埋伏歯などではこの「動かない歯」である確率が高くなり、事前の検査で簡単に判明する物ではないし、また最初少し動いたから大丈夫と思って力をかけ続けると途中で動かなくなったりするので厄介です。
つまり歯が動くか動かないかを知る方法は実際に力を掛けてみて確かめるのが一番確実なのですが、もし、動かない歯であることに気づかずに力を加え続けると、もっと厄介な事になります。
たった一本の動かない歯に対して掛けた力によってそれ以外の全ての歯が動いてはならない方向に動いてしまい、後からこれを修正するのはかなり困難です。
さて、貴方は現在親不知に対して移動させるべく治療をされているようですが、2ヶ月間で動かない歯と言う判断をされた担当医の先生はかなり慎重な姿勢であると思われます。
貴方の場合、もし親不知が動かない歯であるなら、無理をするにはリスクが高いですし、インプラントやブリッジなど他の手段が無いわけでは無いので判断としては理にかなっていると思います。
これは大変に難しい判断であり、直接拝見していない以上、簡単に結論が出せる問題では無いと思います。
しかし、貴方としては可能であるならばそういった代替手段ではなく、親不知の移動をご希望されているようですね。
あと一つ考えられる手段としては、矯正用インプラントを用いて親不知をの移動を助けてやる、ということが考えられます。
このインプラントは無くなった歯の代わりをさせる、いわゆるデンタルインプラントではなく歯の移動を行うために一時的に打ち込むインプラントで、移動が終われば撤去してしまいます。
この方法を用いれば安全、確実に歯の移動の可否、可能であるならば他のへの影響を最小限にして親不知の移動を行えます。
ただし、この方法は別途インプラントに対する費用もかかり、打ち込むオペも必要ですし、またもし親不知が動かなかったら、全く無駄になってしまいます。
それに骨の状態や親不知の状態によっては打ち込み位置の制限から不可能な場合もあり、「どんな場合にでも有効」といった物ではありません。
ですので、方法の第一選択肢としてお勧め出来る物ではありません。
従ってここまでの手段に踏み切るかどうかは貴方の価値観による判断の部分が一番大きいと思います。
是非ともお勧めできる方法ではありませんので、よく考えて行うかどうかを決める必要があります。
貴方の置かれている状況は些か複雑で、難しい判断が求められていますので、担当の先生とよく話し合って、納得のゆく結論を出してください。 |
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大変ご丁寧な回答をいただきまして、誠にありがとうございました。
現在、海外で治療を受けているため、言葉の問題もあり、疑問に感じていることがなかなか解決できないでおりましたが、先生にご説明をいただき大変よく理解することができました。
インプラントによる矯正治療の可能性について、現在の先生に相談して、慎重に考え、後悔のない決断をしたいと思います。
お忙しいところ、大変ご親切にお答えをいただきまして、心から感謝しております。
本当にありがとうございました。 |