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[2011年4月20日] チェコのプラハ在住、中学2年生の娘の出っ歯、海外での抜歯矯正に不安があります。(プラハ14歳女の子)
はじめまして。 チェコのプラハに2年予定で在住予定のものです。
現地で中学2年生の娘のために2件の矯正歯科にカウンセリングに行きました。
1件目のクリニックは、専門医でとても込み合っており、日本人の患者はまだあまりいないようですが、現地及び外国人にとても人気のあるクリニックでした。
2件目は、日本人の患者もいましたが、総合医で抜歯もするところでした。そこはレントゲンをとらないと抜歯かどうかはわからないといいました。
1件目は、4本抜歯した後、1年半ワイヤーをつけて、後はリテーナーをなるべく長くつけること。よって、プラハに2年滞在できれば、矯正治療は終了するであろう。期間中は、2か月に一回のチェックが必要とのことでした。
2件目も期間と2か月おきのチェックは同じでした。
娘の歯の状態は、幼児期の指すいのための、いわゆる出っ歯で何件か日本でカウンセリングを受けましたが、4本の抜歯は必須で約2年の治療期間といわれました。
不安材料として
1、先生がアジア人をみたことがない。プラハで矯正した日本人もあまり聞きません。チェコの矯正技術はいかがなものでしょうか。
2、現在高校生の息子が、以前アジアで矯正をしたところ 1か月おきに通院して約2年かかりました。 もちろん、治療期間の差は個人によって異なって当たり前ですが、2か月に1度で約1年半となると、息子の時に比べると今回は極端に短く感じるのですが。
3、麻酔や衛生面等で海外での抜歯も抵抗があります。
御忙しい中恐縮ですが、 どうぞよろしくご指導下さい。
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はしもと矯正歯科/歯並び.TVの橋本公志です。
メール拝見しました。
このサイトでは、よく外国での矯正についての相談を承ること多いのですが、チェコでのご相談ははじめてです。暫くお時間を頂いて、現地の事情を調査しようと試みましたが、取り立てて有益なものは得られませんでしたので,、外国での一般的なお話をさせて頂き ます。
まず、期間の見積もりですが、「1年半でリテーナー装着まで」というのは些か無理があるとおもいます。
一般的に抜歯して矯正治療を終了(この場合、装置を外してリテーナー装着まで、という意味で)させるのに2年半から3年程度を見積もります。
現実的に多くの方は、途中でアクシデントがなければ1年半から2年程度で装置撤去することが殆どです。
アクシデントというのは、「運動クラブで遅くなって、1週間予定先送り」と言うありがちな些細なものから「交通事故にあって3ヶ月通院出来なく たった!」 という多げな場合まで様々ですが、要は「予定という物は、遅れることはあっても、早まることはあまりない」と言うことです。
ぎりぎりの日程で治療を進めて、もし、予想外のアクシデントで遅くなれば、後からの対応が複雑になります。
文面ではチェコ永住ではなく2年在住予定、とありますので、ご令嬢の矯正治療の都合だけで在住期間が延長できれば良いですが、現実的には困難ではないで しょうか?
チェコと言うことは、そのクリニックの担当医も多くの患者様もいわゆる白人の方が多いと思いますが、アジア人が白人の矯正を行ったり、あるいはその逆をおこなうと、担当医は最初些か戸惑うことが多いと言われています。これは、一本一本の歯の形から骨の形、歯茎のラインや歯の並び方まで、かなりの人種差があるためです。
日本で矯正の事を学ぶ場合、おもにアメリカからの論文等の情報が多く、(矯正装置も殆どアメリカ製です)多くの場合、日本人ドクターは、白人との人種差を予備知識としては持っていますが、白人がアジア人の情報を持っているのは、日本人が多く市民として生活しているハワイやロスのリトルトー キョーなど、特別な地域に限られています。
歯が動く原理という観点では、洋の東西は問われませんが、人種差という恐らくはその担当医にとってあまり経験のない事象に対応するには、これまでの経験だけでスムースに事が運ぶかどうかは未知数です。
したがって、お嬢様の矯正治療は、
1.最終的には、(もし2年で日本に帰国予定なら)日本での治療継続を、ある程度前提にして、治療を開始する.。
2.帰国してから治療を開始する。
の選択肢があるかと思います。
1.の転院を前提にするなら、費用(どこまでの治療の場合、どう算定するか)や検査(日本であれ何処であれ、転院の場合、治療前の検査データーが必要になるため、医院外用のコピーなどを作成してもらう)などで、後々トラブルにならないように事前に決めておいた方がベターな事があります。
一般的に日本人が外国で生活するのは、楽しい、新鮮な事も多い代わりに大変であることもまた多いと思います。
その中で、矯正という医療行為の中でも長期間を要することを行うのは、些か勇気がいることと思います。
チェコで生活する、という多くの日本人にとって、得難い経験は、素晴らしい物も多かろうとは思いますが、お嬢様に対する医療行為という判断の難しいことも生じておりますね。
デリケートな判断が要求されるとは思いますが、何処で行っても、優れたドクターならきっとお嬢様の人生のプラスになると思いますので、よく考えて判断なさって下さい。
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橋本先生、お元気ですか?
プラハは今が一番良い季節です。
プラハの矯正歯科の先生に何人かお会いしました。抜歯か歯を削る選択があるそうです。
レントゲン写真を見ながら、上が?mm下が?mm引っ込めなければならないが、娘の顎が歯に対して狭すぎるとのことでした。
メールだけの少ない情報でのなかの質問大変失礼いたします。
この選択について先生のお考えやご意見を頂戴できたら助かります。
どうぞ宜しくお願い致します。
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はしもと矯正歯科/歯並び.TVの橋本公志です。
日本人の少ない地域での調査は何かと大変のご様子ですね。
さて,「抜歯か歯を削る選択」の件ですが,これは顎の骨が歯に対して狭い(逆の言い方をすれば骨に対して歯が大きい)場合,
1.顎を拡大する
これは成長期の場合,ある程度は骨の大きさそのものを拡大することが可能です。無論,限度がありますので,いくらでも広げれるものではありません。後は歯列を一回り大きく並べることによって,凸凹を解消することもありますが,これにも限度があります。
2.歯の表面を削る
歯の表面はエナメル質で覆われており,これを一面あたり数百ミクロンほど削ることによってスペースを得ようとする物です。この方法は日本や米国でも以前から行われており,方法論としてもかなり確立しておりますが,当然限度があります。
3.小臼歯等を抜歯する。
最も確実,かつ,大きなスペースが得られる方法で,これも治療方法として確立しています。といった順序で得られるスペースが大きくなるのですが,「どれだけのスペースが必要なのか?」によって選択,または組み合わせて治療方針を立てて ゆきます。
必要なスペースは,一般的に「歯列の叢生の除去に必要なスペース+前歯を後退させるにのに必要なスペース」でほぼ決まります。(あとは歯の角度や 歯列のカーブ等のファクターがありますが,細かい事は割愛します) ここで問題になるのは「前歯をどれだけ後退させる必要があるか?」と言うことでしょう。
これは,洋の東西を問わず,複数の基準が存在し,それぞれが学術的にもある程度認められている物のため,どれを選択するのかによって抜歯の必要性 や歯の削る量が変わって参ります。
したがって,デリケートな判断が要求されるケース(担当医の見解によって,抜歯・非抜歯の意見が分かれたりする)では,患者様の希望や,それぞれ の方法のメリット・デメリットをよく考えて判断する必要があります。
こういう場合,お互いネイティブの日本人同士でもコミニケーションミスからトラブルとなる場合がありますので,事前に十分な意見交換が必要です。お尋ねの「歯を削る方法」そのものは,上記のように確立されており,珍しい方法ではありませんが,抜歯との選択は,ケースバイケースで異なるため,かなり困難な選択を強いられますね。
検査データーもなく,患者様のお口の中を拝見すらしたことがないので,当方から発信できる情報はこの程度でしょうか。
何かと大変かと思いますが,担当医とよくよく相談なさって決定してください。
■はしもと矯正歯科、院長 橋本
公志、大阪市・福島区・海老江、野田阪神駅徒歩1分 歯並び.TV、小児矯正歯科・予防矯正・装置の違和感・子供の早期矯正治療・更正(育成)医療指定機関、海外の歯科治療・矯正歯科、土日も診療
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橋本先生、
ご多忙中、ご丁寧にメールをありがとうございます。
先生のご説明はとてもわかりやすく感謝いたします。
娘と相談しながら現地の矯正医師と再度話し合ってみます。
ありがとうございました。 |